「全粒粉は健康に良いって聞くけど、グルテンフリーなの?」「小麦アレルギーでも全粒粉は食べられる?」——そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、全粒粉はグルテンフリーではありません。全粒粉は小麦を丸ごと挽いた粉であり、小麦由来のグルテンがしっかり含まれています。この記事では、全粒粉とグルテンフリーの関係を詳しく解説し、グルテンフリー生活を送りながら全粒粉のような栄養メリットを得るための代替食材をご紹介します。お子さんが小麦アレルギーをお持ちのご家庭でも、安心して栄養バランスの取れた食事を作るためのヒントをお伝えしますね。
全粒粉とは?グルテンフリーではない理由を徹底解説
全粒粉(ぜんりゅうふん)とは、小麦の外皮(ふすま)、胚芽、胚乳のすべてを含んだ状態で製粉した粉のことです。英語では「whole wheat flour(ホールウィートフラワー)」と呼ばれます。通常の小麦粉(薄力粉や強力粉)は胚乳部分のみを使用しますが、全粒粉は小麦をまるごと使用するため、栄養価が高いことで知られています。
しかし、ここで重要なのは、全粒粉の原料は「小麦」であるということです。小麦にはグルテンというタンパク質が含まれており、全粒粉にも当然グルテンが含まれています。つまり、全粒粉はグルテンフリーではないのです。
小麦アレルギーやセリアック病、グルテン不耐症の方にとって、全粒粉は避けるべき食材です。「全粒粉は健康的だから大丈夫」「自然な食品だから安心」と誤解されることがありますが、グルテンフリーを実践する必要がある方には適していません。必ずご自身の体質に合わせて、食材を選んでいただくことが大切です。
全粒粉と通常の小麦粉の違いを詳しく比較
全粒粉と通常の小麦粉の違いを詳しく理解しておきましょう。どちらも原料は同じ小麦ですが、使用する部分と栄養価に大きな違いがあります。
全粒粉の特徴
・小麦の外皮(ふすま)、胚芽、胚乳をすべて含む
・茶色っぽい色で、独特の香ばしい風味がある
・ザラザラとした食感で、噛みごたえがある
・食物繊維は通常の小麦粉の約3〜4倍
・ビタミンB群、ミネラル(鉄分、マグネシウム、亜鉛)が豊富
・抗酸化物質を含む
・GI値(血糖値の上昇度)が比較的低い
通常の小麦粉(薄力粉・強力粉)の特徴
・小麦の胚乳部分のみを使用
・白い色で、クセのない味わい
・きめ細かくなめらかな食感
・食物繊維やビタミン、ミネラルは少なめ
・加工しやすく、様々な料理に使いやすい
・パンやお菓子がふんわり仕上がる
どちらも原料は小麦であり、グルテンが含まれている点は同じです。精製度が違うだけで、グルテンフリーかどうかには影響しません。「全粒粉のほうが体に優しそう」というイメージがありますが、グルテンに関しては通常の小麦粉と同様に注意が必要です。
なぜ全粒粉がグルテンフリーと誤解されやすいのか
全粒粉がグルテンフリーと誤解されやすい理由はいくつかあります。この誤解は意外と多くの方が持っているため、正しい知識を身につけておきましょう。
誤解の理由1:健康食品のイメージ
全粒粉は「健康に良い」「自然食品」「ホールフード」というイメージが強く、「体に優しい=アレルギーにも優しい」と勘違いされることがあります。テレビや雑誌で「全粒粉は健康に良い」と紹介されることが多いため、「グルテンフリー」と混同してしまう方がいらっしゃいます。
誤解の理由2:精製されていない=安全という認識
「精製されていない自然な状態の食品だから、添加物もないし安全」という認識から、グルテンも含まれていないと誤解されることがあります。しかし、グルテンは小麦そのものに含まれる天然のタンパク質であり、精製の有無とは関係ありません。
誤解の理由3:「全粒穀物」との混同
キヌアやアマランサス、ひえ、あわなどのグルテンフリー穀物と、全粒粉(全粒小麦)が混同されることがあります。「全粒」という言葉が似ているため、同じカテゴリと思われがちですが、全く異なるものです。キヌアやアマランサスはグルテンフリーですが、全粒粉は小麦由来なのでグルテンを含みます。
誤解の理由4:海外製品のラベル
海外の製品で「Whole Grain(全粒穀物)」と表示されているものの中には、グルテンフリーのものとそうでないものが混在しています。「Whole Grain」だけでは小麦かどうか判断できないため、必ず原材料を確認する必要があります。
いずれの理由も誤解であり、全粒粉には確実にグルテンが含まれています。原材料表示に「全粒粉」「全粒小麦粉」「ホールウィート」「whole wheat」などの記載がある場合は、グルテンフリーではないと判断してください。
全粒粉の栄養メリットとグルテンフリー食材での代替方法
全粒粉が人気なのは、その栄養価の高さにあります。グルテンフリーを実践している方でも、同様の栄養メリットを得られる代替食材がたくさんあります。全粒粉を食べられなくても、栄養面で諦める必要はありません。
全粒粉の栄養価を詳しく分析
全粒粉には以下のような栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素を、どのようにグルテンフリー食材から摂取できるかを見ていきましょう。
食物繊維
全粒粉には、通常の小麦粉の約3〜4倍の食物繊維が含まれています。食物繊維は腸内環境を整え、便秘予防に効果的です。また、血糖値の急上昇を抑える働きもあります。全粒粉100gあたり約11gの食物繊維が含まれています。
ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸などが豊富に含まれています。これらのビタミンは、エネルギー代謝を助け、疲労回復に役立ちます。また、神経系の健康維持や、皮膚・粘膜の健康にも関与しています。
ミネラル
鉄分、マグネシウム、亜鉛、リンなどのミネラルが豊富です。鉄分は貧血予防に、マグネシウムは骨の健康維持や筋肉の機能に、亜鉛は免疫機能や味覚の維持に寄与します。
良質なタンパク質
植物性タンパク質を含み、筋肉や体の組織の材料となります。ただし、このタンパク質にはグルテンも含まれているため、小麦アレルギーの方は摂取できません。
抗酸化物質
フェノール酸やフラボノイドなどの抗酸化物質を含んでいます。これらは体内の酸化ストレスを軽減し、健康維持に役立つと言われています。
全粒粉の代わりになるグルテンフリー食材一覧
全粒粉のような栄養メリットを得られるグルテンフリー食材をご紹介します。これらの食材を上手に組み合わせることで、グルテンフリーでも栄養バランスの取れた食事が可能です。
玄米粉
玄米を粉にしたもので、食物繊維やビタミンB群が豊富です。全粒粉に最も近い栄養プロファイルを持ち、代替品として最もおすすめです。香ばしい風味があり、パンやお菓子作りに使えます。玄米粉100gあたり約3.5gの食物繊維を含んでいます。
オートミール(グルテンフリー認証品)
食物繊維やタンパク質が豊富で、β-グルカンという水溶性食物繊維を多く含みます。ただし、オーツ麦自体はグルテンを含まないものの、製造過程で小麦と混入するリスクがあります。必ずグルテンフリー認証を受けた製品を選びましょう。
そば粉(十割そば粉)
食物繊維やルチン(ポリフェノールの一種)が豊富です。血管を強化する働きがあると言われています。ただし、そばアレルギーの方は使用できません。また、市販のそば粉には小麦が混入している場合があるため、「100%そば粉」「純そば粉」と明記された製品を選んでください。
キヌア
必須アミノ酸をすべて含む「完全タンパク質」として知られています。食物繊維、鉄分、マグネシウムも豊富で、スーパーフードとして人気があります。粒のまま炊いてサラダに加えたり、粉にしてお菓子作りに使ったりできます。
アマランサス
タンパク質、カルシウム、鉄分が非常に豊富です。特にカルシウム含有量は穀物の中でもトップクラスです。小さな粒をご飯に混ぜて炊いたり、ポップさせてシリアルとして食べたりできます。
ひえ・あわ・きび
日本の伝統的な雑穀で、グルテンフリーです。それぞれ独自の栄養特性を持ち、食物繊維やミネラルが豊富です。白米に混ぜて炊くと、手軽に栄養価をアップできます。きびはビタミンB群が豊富で、あわはパントテン酸を多く含みます。
テフ
エチオピア原産の極小粒の穀物で、鉄分とカルシウムが非常に豊富です。独特の風味があり、インジェラという発酵パンの原料として使われます。日本でも健康食品店や通販で入手可能です。
これらの食材を組み合わせることで、全粒粉と同等、またはそれ以上の栄養価を得ることができます。
グルテンフリーで全粒粉パンの代わりを楽しむ方法
全粒粉パンは、その香ばしさと噛みごたえ、栄養価の高さで人気があります。グルテンフリーでも同じような満足感を得られるパンの選び方や作り方をご紹介します。
市販のグルテンフリー全粒風パンの選び方
最近では、玄米粉やそば粉を使用した、全粒粉パンに似た風味のグルテンフリーパンが販売されています。選ぶ際のポイントを押さえておきましょう。
玄米粉パン
玄米の栄養がそのまま摂れる、もっちりとした食感のパンです。全粒粉パンに近い満足感があり、香ばしい風味を楽しめます。冷凍で販売されていることが多く、トーストすると美味しくいただけます。
雑穀入り米粉パン
きびやあわ、アマランサスなどの雑穀を加えた米粉パンです。プチプチとした食感と栄養価の高さが特徴で、見た目も全粒粉パンに近い茶色がかった色合いになります。
古代米入りパン
黒米や赤米を加えたパンで、色鮮やかな見た目が特徴です。アントシアニンなどの抗酸化成分も摂取でき、栄養面でも優れています。
選ぶ際の注意点
・必ず原材料表示を確認し、小麦が含まれていないことを確かめる
・「グルテンフリー」の表示があるか確認する
・製造ラインでの小麦混入リスクについても確認する
・「パン用米粉」には小麦グルテンが添加されている製品があるので注意
手作りグルテンフリー全粒風パンのレシピ
自宅で全粒粉パンに近い風味のグルテンフリーパンを作ることもできます。玄米粉を使うことで、香ばしさと栄養価を両立できます。
【材料(1斤分)】
・玄米粉 150g
・米粉 100g
・タピオカ粉 50g
・サイリウムハスク(オオバコ)10g
・ドライイースト 5g
・砂糖 20g
・塩 5g
・ぬるま湯 280ml
・オリーブオイル 大さじ2
【作り方】
1. ボウルに玄米粉、米粉、タピオカ粉、サイリウムハスク、塩を入れてよく混ぜる
2. 別の容器でぬるま湯(約40℃)に砂糖を溶かし、ドライイーストを加えて5分ほど置く(泡立ってきたらイーストが活性化した証拠)
3. 粉類にイースト液とオリーブオイルを加え、ゴムベラでよく混ぜる
4. 生地がまとまったら、油を塗ったパン型に入れる
5. ラップをかけて温かい場所(30〜35℃)で40〜50分発酵させる(生地が1.5倍程度に膨らむまで)
6. 180℃に予熱したオーブンで35〜40分焼く
7. 竹串を刺して生地がついてこなければ完成
玄米粉を使うことで、全粒粉パンに似た香ばしさと栄養価を実現できます。サイリウムハスクがグルテンの代わりに粘りを出し、ふんわりとした食感に仕上がります。
グルテンフリーパンをより美味しくするコツ
グルテンフリーパンを美味しく仕上げるためのポイントをご紹介します。
複数の粉をブレンドする
玄米粉だけでなく、米粉やタピオカ粉、片栗粉などを混ぜることで、食感のバランスが良くなります。単一の粉だけだと風味や食感が偏りがちですが、ブレンドすることで小麦パンに近い仕上がりになります。
サイリウムハスクやキサンタンガムを活用する
これらの増粘剤は、グルテンの代わりに粘りを出す働きをします。特にサイリウムハスクは食物繊維も豊富で、栄養面でもプラスになります。パン生地には粉の量の約3〜5%程度を目安に加えましょう。
水分量を適切に調整する
グルテンフリー粉は小麦粉と水分の吸収率が異なります。生地の状態を見ながら水分量を調整しましょう。べたつきすぎず、まとまる程度の硬さが理想です。
発酵時間と温度に注意する
グルテンフリーパンは発酵しすぎると崩れやすくなります。発酵は1.5倍程度の膨らみを目安にし、過発酵に注意しましょう。
焼き上がりをしっかり確認する
グルテンフリーパンは中心部まで火が通りにくいことがあります。竹串を刺して生地がついてこないか確認し、生焼けを防ぎましょう。
全粒粉を使った食品に含まれるグルテンに要注意
健康志向の高まりから、全粒粉を使用した製品が増えています。「健康に良い」というイメージから安心して手に取りがちですが、グルテンフリーを実践している方は以下の食品に注意が必要です。
全粒粉パスタに注意
全粒粉パスタは、通常のパスタより食物繊維が多く、GI値(血糖値の上昇度)が低いことで健康志向の方に人気です。しかし、原料は小麦なので、グルテンフリーではありません。
「食物繊維が豊富」「血糖値が上がりにくい」といったメリットが強調されていますが、小麦アレルギーやグルテン不耐症の方には適していません。
グルテンフリーのパスタを選ぶ場合の代替品
・米粉パスタ:最もポピュラーで、クセがなく使いやすい
・とうもろこしパスタ:ほのかな甘みがある
・キヌアパスタ:タンパク質が豊富
・豆パスタ(レンズ豆、ひよこ豆など):高タンパク、高食物繊維
・そば粉パスタ:必ず100%そば粉のものを選ぶ
全粒粉クラッカー・ビスケットに注意
全粒粉を使用したクラッカーやビスケットは、ヘルシーなおやつとして人気ですが、グルテンを含みます。パッケージに「全粒粉使用」「食物繊維たっぷり」と書かれていても、グルテンフリーではないことに注意してください。
代替品
・米粉クラッカー
・そば粉クッキー(100%そば粉使用のもの)
・ナッツバー
・おせんべい(原材料要確認)
・コーンチップス(原材料要確認)
全粒粉シリアル・グラノーラに注意
朝食用のシリアルやグラノーラには、全粒小麦やオーツ麦が使用されていることが多いです。「食物繊維たっぷり」「全粒穀物使用」といった表示があっても、グルテンフリーとは限りません。
グルテンフリーのシリアルを選ぶ場合の代替品
・米パフ(ポン菓子)
・コーンフレーク(原材料に小麦が含まれていないもの)
・グルテンフリー認証のオートミール
・キヌアフレーク
・ナッツとドライフルーツのミックス
意外な食品にも全粒粉が使われていることがある
パン、麺類、菓子類だけでなく、意外な食品にも全粒粉が使用されていることがあります。以下の食品は特に注意が必要です。
・カレールー(とろみ付けに小麦粉使用)
・シチューのルー
・ハンバーグのつなぎ(パン粉使用)
・揚げ物の衣
・ドレッシング(増粘剤として小麦使用の場合あり)
・ソーセージ・ウインナー(つなぎに小麦使用の場合あり)
・醤油(原材料に小麦使用)
・味噌(麦味噌はグルテン含有)
「全粒粉入り」「ホールグレイン」「食物繊維たっぷり」「健康志向」などの表示がある製品は、原材料表示を必ず確認してください。
グルテンフリーで食物繊維を効率よく摂取する方法
全粒粉を食べられない場合でも、食物繊維は他の食材から十分に摂取できます。グルテンフリー食材から効率よく食物繊維を摂る方法をご紹介します。
食物繊維が豊富なグルテンフリー食材一覧
野菜類
・ごぼう:食物繊維の王様。100gあたり約5.7gの食物繊維を含む
・れんこん:食物繊維と同時にビタミンCも摂取できる
・ブロッコリー:食物繊維に加え、ビタミンCや葉酸も豊富
・キャベツ:生でも加熱でも食べやすい
・ほうれん草:鉄分も同時に摂取できる
・さつまいも:甘みがあり、お子さんにも人気
きのこ類
・しいたけ:ビタミンDも豊富
・しめじ:クセがなく使いやすい
・えのき:低カロリーで食物繊維たっぷり
・まいたけ:免疫力アップにも良いと言われる
・エリンギ:食感が良く、満足感がある
海藻類
・わかめ:水溶性食物繊維が豊富で、腸内環境を整える
・ひじき:鉄分とカルシウムも摂取できる
・昆布:だしとしても活用できる
・もずく:低カロリーでヘルシー
・めかぶ:ネバネバ成分のフコイダンを含む
豆類
・大豆:タンパク質と食物繊維を同時に摂取できる
・小豆:和菓子にも使われる身近な食材
・レンズ豆:調理時間が短く使いやすい
・ひよこ豆:カレーやサラダに最適
・黒豆:アントシアニンも含む
果物
・りんご:ペクチンという水溶性食物繊維が豊富
・バナナ:手軽に食べられ、お子さんにも人気
・キウイ:ビタミンCも同時に摂取
・いちじく:ドライフルーツとしても
・アボカド:良質な脂質と食物繊維を含む
ナッツ・種子類
・アーモンド:ビタミンEも豊富
・くるみ:オメガ3脂肪酸を含む
・チアシード:水分を含むと膨らみ、満腹感アップ
・フラックスシード(亜麻仁):オメガ3脂肪酸も豊富
グルテンフリー雑穀の活用方法
白米に雑穀を加えることで、食物繊維やミネラルの摂取量を手軽に増やすことができます。
キヌア
・食物繊維約2.8g/100g
・プチプチとした食感で、サラダにも使える
・必須アミノ酸をすべて含む完全タンパク質
・白米1合に対して大さじ2〜3程度を加えて炊く
アマランサス
・食物繊維約6.7g/100g
・小さな粒で、ご飯に混ぜても気にならない
・カルシウムと鉄分が非常に豊富
・白米1合に対して大さじ1〜2程度を加えて炊く
もちきび
・食物繊維約1.7g/100g
・もちもちとした食感で、お子さんにも人気
・黄色い色でご飯が彩り豊かに
・白米1合に対して大さじ2程度を加えて炊く
ひえ
・食物繊維約4.3g/100g
・クセがなく、どんな料理にも合う
・ミネラルバランスが良い
・白米1合に対して大さじ2程度を加えて炊く
これらの雑穀を白米に混ぜて炊くだけで、手軽に栄養価をアップできます。最初は少量から始めて、徐々に量を増やしていくと続けやすいでしょう。
1日の食物繊維摂取目標と達成のコツ
日本人の食事摂取基準では、成人の食物繊維摂取目標量は1日あたり男性21g以上、女性18g以上とされています。しかし、実際の平均摂取量は14g程度と言われており、多くの人が不足しています。
グルテンフリー生活でも、野菜、果物、豆類、雑穀をバランスよく摂ることで、この目標を達成することは十分可能です。
食物繊維を効率よく摂るコツ
・毎食、野菜を1〜2品は食べる
・果物を1日1〜2個食べる習慣をつける
・白米を雑穀米に置き換える
・おやつにナッツやドライフルーツを選ぶ
・味噌汁やスープに野菜をたっぷり入れる
・豆類を週に2〜3回は取り入れる
お子さんの栄養を考えたグルテンフリーの食事
お子さんが小麦アレルギーをお持ちの場合、全粒粉製品を食べられないことで栄養面の心配をされる方もいらっしゃるでしょう。グルテンフリーでもお子さんの成長に必要な栄養を摂る方法をご紹介します。
成長に必要な栄養素とグルテンフリー食材
お子さんの成長に必要な栄養素は、グルテンフリー食材から十分に摂取できます。全粒粉が食べられなくても、バランスの良い食事で栄養面の心配は不要です。
タンパク質
肉、魚、卵、大豆製品から十分に摂取できます。これらの食材はグルテンフリーであり、小麦アレルギーがあっても問題なく食べられます。毎食、主菜としてタンパク質源を取り入れましょう。
カルシウム
牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、小魚、豆腐、小松菜、ひじきなどから摂取できます。成長期のお子さんには特に重要な栄養素です。
鉄分
レバー、赤身肉、ほうれん草、小松菜、ひじき、あさりなどから摂取できます。雑穀米(あわ、ひえ、アマランサスなど)も鉄分補給に役立ちます。
ビタミンB群
玄米、雑穀、豚肉、卵、緑黄色野菜、バナナなどから摂取できます。エネルギー代謝に必要な栄養素で、成長期には欠かせません。
食物繊維
野菜、果物、豆類、雑穀から十分に摂取できます。お子さんの腸内環境を整え、便秘予防にも役立ちます。
給食やお弁当での工夫
学校給食で全粒粉パンが提供される場合は、代替として米粉パンや白米のおにぎりを持参することが考えられます。
給食対応のポイント
・学校や保育園との事前相談が重要
・除去食対応が可能か確認する
・代替食を持参する場合のルールを確認する
・栄養士の先生と相談して、代替メニューを決める
・定期的に面談して情報共有する
お弁当のポイント
・雑穀入りのおにぎりで栄養価アップ
・米粉パンのサンドイッチもおすすめ
・彩り豊かな野菜を添えて見た目も楽しく
・お友達と同じようなメニューになるよう工夫する
おやつでの栄養補給
全粒粉を使用したおやつ(クッキーやビスケットなど)の代わりに、以下のようなグルテンフリーおやつで栄養補給ができます。
・米粉クッキー(手作りまたは市販品)
・ナッツ入りエナジーボール
・さつまいもやかぼちゃの蒸しパン
・フルーツとヨーグルト
・おにぎりせんべい
・ポップコーン(塩味)
・きなこもち
・白玉だんご
手作りすれば、原材料を把握できるので安心です。お子さんと一緒に作ると、食育にもなりますね。
グルテンフリー認証とラベル表示の見方
グルテンフリー製品を選ぶ際に役立つ、認証マークやラベル表示の見方をご紹介します。正しい知識を持って、安全な製品選びをしましょう。
日本のアレルギー表示制度
日本では、食品表示法により「小麦」は特定原材料として表示が義務付けられています。パッケージに以下のような表示がないかを確認しましょう。
原材料名での確認ポイント
・「小麦」「小麦粉」「全粒粉」「強力粉」「薄力粉」の記載
・「デュラム小麦」「セモリナ粉」の記載
・「ホールウィート」「whole wheat」の記載
アレルギー表示欄での確認ポイント
・「アレルギー物質:小麦を含む」
・「本品は小麦を含む製品と共通の設備で製造しています」
・「小麦を使用した設備で製造しています」
これらの表示がある場合は、グルテンフリーではないと判断してください。
グルテンフリー認証マークの種類
海外では、グルテンフリー認証制度が確立されています。代表的なものをご紹介します。
GFCO(グルテンフリー認証機構)
アメリカの認証機関で、世界で最も厳格な基準の一つ。グルテン含有量10ppm以下の製品に認証を付与しています。穂の絵に斜線が入ったマークが目印です。
Crossed Grain シンボル
ヨーロッパで広く使用されている認証マーク。グルテン含有量20ppm以下の製品に付与されます。麦の穂にバツ印のマークが目印です。
NSF International グルテンフリー認証
アメリカの第三者認証機関。グルテン含有量20ppm以下を基準としています。
日本国内でも、これらの認証を受けた製品が輸入販売されています。認証マークがついている製品は、より安心して選ぶことができます。
「グルテンフリー」表示の注意点
日本国内では「グルテンフリー」の表示に関する法的な基準がまだ確立されていません。そのため、メーカーによって基準が異なる場合があります。
注意すべきポイント
・「グルテンフリー」表示だけでなく、原材料表示も必ず確認
・製造ラインでの混入リスクについても確認
・不明な点はメーカーに直接問い合わせる
・海外製品は認証マークの有無を確認
重度のアレルギーをお持ちの方は、「グルテンフリー」表示だけに頼らず、原材料表示や製造ラインの情報も確認することをおすすめします。
まとめ:全粒粉はグルテンフリーではないが、代替食材で栄養は十分摂れる
全粒粉は栄養価が高く健康的な食材として人気ですが、小麦を原料としているため、グルテンフリーではありません。小麦アレルギーやグルテン不耐症の方は、全粒粉および全粒粉を使用した製品を避ける必要があります。
しかし、グルテンフリー生活でも、全粒粉と同等の栄養価を持つ食材はたくさんあります。
全粒粉の代替食材
・玄米粉:食物繊維、ビタミンB群が豊富で、全粒粉に最も近い
・キヌア:必須アミノ酸を含む完全タンパク質
・アマランサス:カルシウム、鉄分が非常に豊富
・ひえ、あわ、きび:日本の伝統的な雑穀でミネラル豊富
・オートミール(グルテンフリー認証品):β-グルカンが豊富
食物繊維の摂取方法
・野菜、果物、豆類、海藻類、きのこ類から十分に摂取可能
・グルテンフリー雑穀をご飯に混ぜて栄養価アップ
・毎食、野菜を意識して取り入れる
製品選びのポイント
・「全粒粉」「ホールウィート」「全粒小麦」の表示に注意
・原材料表示とアレルギー表示を必ず確認
・グルテンフリー認証マークを参考にする
・不明な点はメーカーに問い合わせる
グルテンフリー生活は「制限」ではなく、「新しい食の選択肢」です。全粒粉が食べられなくても、玄米や雑穀、野菜などから同等以上の栄養を摂取することができます。
お子さんのアレルギー対応で大変な思いをされている方もいらっしゃるかもしれませんが、工夫次第でバランスの良い食事は十分可能です。完璧を目指さなくても大丈夫。少しずつ、できることから取り入れていきましょう。
この記事を参考に、栄養バランスの取れたグルテンフリー生活を楽しんでくださいね。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。
※原材料や製造ラインの状況は商品ごとに異なり、変更される場合もあります。
※アレルギーの程度には個人差がありますので、必ずご自身で最新の成分表示を確認するか、主治医にご相談ください。

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